ストラクチュア

トタン板張りの車庫 1

ST001 Web#=5 掲載2007/12/7

ストラクチュアに関する記事の第1回はトタン板で囲われた車庫を取り上げましょう。トタン板というのは薄い鋼板に亜鉛を溶融メッキしたものです。融解した亜鉛の漕に鋼板を通して表面に薄い亜鉛の防錆層を形成します。主に波板の形で建築材料として外壁や屋根の材料として普及しています。日本の規格では波をプレスする前のサイズが所謂サブロク(畳1枚の大きさです、3尺X6尺=90cmX180cm)のものが標準です。

柱や屋根の垂木(タルキ)に直接トタンの波板を貼り付ければ出来上がりという安価で簡易な工法が、地方私鉄の車庫や付属建物によく採用されていました。

左の写真は能勢電鉄の絹延橋車庫を駅のプラットホームから眺めたところです。「さあ〜、これから撮るぞッ」と気合が入っています。

右の写真は車庫の外壁です。いろいろな色と錆具合のトタン板が、あちこち剥げながら外壁としてがんばっています。風が吹くと外れかけたトタン板がシャラシャラと音を立てて揺れています。

この写真はトタン板張り車庫の内部です。写真のようにあちこちから日光が漏れています。見上げると星空のよう。夜になれば当然庫内の光が外に漏れていたことでしょう。これでは隙間風は相当のものだったようで冬にこの中で仕事をするのは、かなりつらいものがあります。

この建屋にはピットがありませんでした。103号貨物電車の後方に見えるのは現役の木造ポールカー10型です。

この写真はもう一棟あった車庫の外壁で、こっちはやや上等な造りで下見板張りの外壁です。でも屋根は当然トタンの波板張り。反り返った下見板、使わなくなった台車、古レールや古枕木、ガスボンベなどなどの小道具が好ましい鄙びたロ−カル私鉄の雰囲気を醸し出しています。