古い車輌の写真

国鉄 若松機関区 4 9600

29661

RJ45 Web#=173 掲載2008/7/7

北九州地方の石炭列車は9600形が大活躍していました。若松にもたくさんの9600が配属されていたのですが、近くの炭田地帯に張り巡らされていた支線の運用に出払っていて、機関区に残っているのは僅かでした。この29661は架線注意の札以外はほとんど原型です。この機関区では架線という邪魔者が一切視界に入らなくて気持ちの良いところでした.

私のようなシロートがそのカッコウだけで蒸気機関車を評価するのは、仕事で真剣にカマとともに生きていた人々に対して失礼と思います。でも蒸気機関車の設計をようやくマスターした大正時代のエンジニアが設計した力と希望のこもったデザインはとても好ましく思うのですが皆さんはいかがでしょうか? 地方で旅客列車を牽いた8620、混合列車を牽いた6760、貨物列車で活躍した9600、山の急勾配専門の4110、どれも好ましい大正形デザインです。

その中でも9600という蒸気機関車は強力な貨物機という要請に基づいて、機能優先で設計されたロコです。旅客用蒸気機関車の一部で見られるような装飾的要素は化粧煙突以外にはほとんど無く、機能美の典型とでも言えるロコではないでしょうか。テンダーを除くエンジン部分だけでは60トンしかありませんし、出力は870馬力に過ぎません。このような小柄なロコが2000トンもの石炭列車を引き出せたのですから驚きです。

29670

この写真の29670はご覧のようにコールバンカーに石炭を山盛り積み込んでいます。ロコの後には特別大きな水タンクが聳えています。テンダーの右側に見える給水スポートから水を飲んで、これから出発というところです。

29692

若松機関区のすぐそばにある倉庫街で停車中の29692です。手前に見える少し頼りなさそうな電化された線路は若松市営交通局のものです。ここはお客を乗せる路面電車ではなくて、貨物専業で国鉄の若松駅から沿線の工場へ貨車を集配する路線です。直流600ボルトの電化なので架線も路面電車並みの頼りなさそうなものです。小型の凸型電気機関車が数輌のワムを牽く貨物列車と9600が並んだら最高だったのですが・・・。

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