古い車輌の写真

仙山線 作並機関区 5 クモハ11122

クモハ11122

RJ059 Web#=199 掲載2008/8/4

この車は1966/8/3に仙山線作並機関区で撮影したクモハ11122です。この機関区に何故17mクラス片運転台の電車が1両だけ存在したのかは不明です。写真2と3で見られるように出入り口には立派な階段が取り付けられており、実態は倉庫のようでした。茂った藪の中に突っ込んだ形で停められているので、どこから撮ってもマトモな写真にはなりませんでした。車端の配属先には仙センと記されているので、仙石線に使用されていた電車と思われます。

17m級の古い国電の経歴は実に複雑です。1923年の関東大震災以後、首都圏の省線電車の大型化と鋼製化のために大量(モハ30形だけで205輌)に作られたグループの一部です。このクモハ11122は当初はデハ73200形として1927年に竣工しましたが、1928年にモハ30形モハ30148に改称され、1953年に長野工場で改造の上モハ11058に改番、1959年にクモハ11122となりました。車体の軽量化ということにはあまり考慮を払われずに丈夫な車体を持っていたこと、無理の無い余裕の仕様でモーターや機器が設計されたこと、短い編成でも使用可能で地方線区や私鉄での運用にもよく適合していたことなどが相俟って、このように長期にわたって活躍しました。

この写真を撮影した頃は国鉄といえども機関区や電車区の裏手には、このような使われなくなった車輌の車体を流用した倉庫や更衣室が必ず置かれていました。このクモハ11122はまだ台車もパンタグラフも付けたままで、車体もほとんど傷んでいませんでした。

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