古い車輌の写真

仙山線 作並機関区 4 直流電気機関車

ED143

RJ058 Web#=198 掲載2008/8/3

写真1はED143、1975/3/29近江鉄道彦根車庫にて。
険しい山々を越える仙山線には奥新川駅〜面白山高原駅間に全長5,361mもある仙山トンネル(通称面白山トンネル)がありました。この長いトンネルでの運行に備えて開通当初から作並〜山寺間(20.0km)だけが直流1500Vで電化され、写真1のED14形電気機関車と下記のED17形電気機関車が使われていました。
ED14形は鉄道省がアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社から1926年に4輌輸入した直流用貨物電気機関車で、当初は1060形1060〜1063でした。後にED141〜ED144に改番されました。東海道線の貨物列車用から中央本線、飯田線を経て1950年に仙山線作並機関区に配属されました。1960〜1966年にかけて廃車となり全て近江鉄道に譲渡されました。写真1のED143は一旦西武鉄道に貸し出された後で近江鉄道に譲渡されました。

ED179

写真2はED17形ED179、1966/8/3仙山線作並機関区にて撮影。この電気機関車は1923年〜1925年にイギリスのイングリッシュ・エレクトリック社English Electric & Coのディック・カーDick Kerr工場で製造されました。この電気機関車の通称デッカーはこの工場に由来します。但し電気関係以外はノース・ブリティッシュ社製です。当初は1040形1040〜1056でしたが、1928年ED50形ED501〜17に改番されました。1930年から1931年にかけて歯車の減速比を大きく改造してED171〜ED1717となって、勾配の多い中央本線用の電化開業用に使われました。イギリス製の電気機関車は極めて成績が悪く、ほとんどの電装関係部品が戦後に国鉄形標準品に交換され、新しく生まれ変わりました。その後に仙山線に転用され長く活躍しました。

ED1722

写真3はED17形ED1722です。1923年に6輌が電気関係がイギリスのイングリッシュ・エレクトリック社English Electric & Coのディック・カーDick Kerr工場で、機械関係はノース・ブリティッシュ社で作られました。当初は6000形6003〜6008という番号でしたが、1928年にED52形ED521〜ED526と改番されました。このうちのED521とED522が1943年に歯車比を貨物用に変えてED1722とED1723になりましたがED1723は戦災で失われています。

ED1727

写真4はED17形ED1727です。1924年に2輌、電気関係がイギリスのイングリッシュ・エレクトリック社English Electric & Coのディック・カーDick Kerr工場で、機械関係はパケット・アンド・サンズ社Packett & Sons, Atlas Worksで作られました。輸入当初は1030形1030と1031でしたが1928年にED131とED132に改番されました。これも故障が多くて戦後電気機器を国鉄標準品に交換、ED17形に編入されてED1727とED1728になりました。その後作並機関区に転属して仙山線で長く使われました。

ED1728

写真5はED17形ED1728です。経歴などは上記のED1727と同じです。このグループの車体は屋根のカーブが他のグループとは違って、丸みが強く深いのに注目してください。

ED1726

ED17形で仙山線とは無関係のグループのED1724〜ED1726が有りましたので、ここで紹介しましょう。写真6はED1726、1963/3横須賀線横須賀駅にて撮影。当初は6000形6000〜6002として作られたデッカー製の電気機関車ですが、関東大震災に遭遇して水没しイギリスへ送り返されて再製作されたものです。車体の外観がデッキ付きで車体が左右非対称と他のデッカーとは異なっています。横須賀線で貨物列車や入換に使われ、1970年に廃車となりました。

この写真の撮影地が久里浜と書いていましたが、正しくは横須賀駅です。親切な横須賀在住の方に指摘いただきました。

余談ですがクラシック音楽で有名なイギリスのデッカ・レコードDecca Recordsとは無関係のようです。

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