古い車輌の写真

北沢産業 網干専用鉄道 1 蒸気機関車

RF028 Web#=130 掲載2008/5/16
修正1 2009/9/11

さて本日はとっくの昔に廃線となった極めてマイナーな鉄道を取り上げました。皆さんはご存知ですか? 国鉄山陽本線の姫路の少し西にある網干駅(アボシ、大きな電車区大ホシがありますね)から海岸の浜田港駅までを結ぶ5.9Kmの貨物専業の私鉄でした。1943年東芝の姫路工場が操業を始めた時に専用線として運用が始まりましたが、1950年に北沢産業が路線を譲り受け、1966年に専用線から地方鉄道に転換しました。1984年に貨車の直通が無くなって休止となり、正式の廃止は1989年のことです。途中で揖保川(イボガワ)を渡る鉄橋は珍しく古いタイプのポニー・ワーレン・トラスでした。

蒸気機関車 No.7

写真1と2は休車となって庫内に保管されていた蒸気機関車No.7です。ずいぶん埃が積もっていたので長い間使われていなかったようです。1969/9/1に浜田機関区にて撮影。

メーカーは本江機械製作所(後の立山重工業)という富山にあって産業用蒸気機関車を専門に手がけていたところです。

長島温泉SLランドにて

写真3は1978/5/14長島温泉にて。

この写真も同じ蒸気機関車ですが後年名古屋の近く、三重県の「長島温泉SLランドにて」という、今で言うテーマパークで客寄せの一環として展示(放置)されているのを見つけました。明るいところで再度じっくり観察するとボイラーや水タンクの大きさに比べて動輪径がとても小さいのに気が付きます、さぞや力が出たのでしょう。残念ながら長島温泉SLランドの蒸気機関車群は後にすべて解体処分されたそうです。

この蒸気機関車の原型は戦前に朝鮮総督府鉄道のナローライン向けに作られたものと聞きました。朝鮮のナローラインは2フィート6インチという軽便規格の軌間ですが、そこで活躍していた蒸気機関車ナキハ型はC58と同等の大きさと快速を誇っていました。この蒸気機関車も戦争の混乱で韓国へ渡りそこねてデッドストックになっていたのが、2フィート6インチゲージから改軌されてこの鉄道にやってきたものかも知れません。

このNo.7という変わった蒸気機関車が来る前の東芝網干工場では、国鉄から払い下げられたイギリスのネイスミス・ウイルソン社製C型タンク機関車が2輌使われていました。

ネイスミス・ウイルソン社製造番号501(1897年製)→豊川鉄道1→1943年鉄道省に買収1280形1280→1943年東芝網干工場1280
ネイスミス・ウイルソン社製造番号675(1903年製)→豊川鉄道4→1943年に2(2代目)に改番→1943年鉄道省に買収1280形1281→東芝網干工場2
このうち東芝網干工場1280の写真が残されています(金田茂裕著ネイスミス・ウイルソンの機関車 P15)が、たくさん作られた1100系の蒸気機関車です。
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