古い車輌の写真

井笠鉄道 2 1号蒸気機関車

1号蒸気機関車

RP068 Web#=135 掲載2008/5/23

籤場の車庫の奥で大切に保管されていた1号蒸気機関車です。1913年にドイツのオレンシュタイン・ウント・コッペル社で3台作られ、おのおの井笠鉄道の1〜3号機となりました。このグループの蒸気機関車は開業以来特に大きな問題もなく永年にわたって主力機関車として改造もされずに愛用されましたが、1961年に新製された大型ディーゼルカーのホジ100形が就役すると廃車となり、籤場の車庫の奥で保管されてきました。

この1号機は廃線の後に西武鉄道に貸し出され、遊園地にある西武鉄道山口線で井笠鉄道の客車を牽引して、アトラクションとなって活躍しました。山口線に台湾から輸入したより大型の蒸気機関車が就役すると井笠鉄道に返却されました。1980年以後は新山駅(にいやま)の跡地に建設された井笠鉄道記念館に保存され、現在も同館でホハ1やホワフ1と共に展示されています。

この蒸気機関車は大きなサイドタンクを持っていましたが、それに加えてウエル・タンクも持っていました。ウエル・タンク(ボトム・タンクとも呼ばれる)というのは、機関車の台枠の間に水を入れておく方式のタンクで、ドイツの蒸気機関車によく採用されていました。

この蒸気機関車の運転整備重量は僅か9.14トンに過ぎません。平坦線が多かった井笠鉄道ですが、これでは一体何両の小さな客車を牽引できたのでしょうか? 機関士、機関助手と車掌の3名が1本の列車に必要でしたので、経営はなかなか大変だったと思われます。

この写真は1963年ごろ最初に井笠鉄道を訪問した時の写真です。庫内のロコをディーゼルカーを使って引き出してもらえました。そのときに親切にしていただいた車庫の方たちは今はどうされているのでしょう?

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