古い車輌の写真

井笠鉄道 4 9号、10号蒸気機関車

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RP070 Web#=137 掲載2008/5/25

井笠鉄道の珍品蒸気機関車といえばこのB15型9号機でしょう。籤場車庫からちょっと足を伸ばして保存されている児童公園まで行ってきました。この写真を撮ったのは保存が始まってからあまり経過していない時だったので、塗装もきれいで部品もそろっておりました。

一見するとありふれた日車タイプのタンク機関車ですが、足回りの細部がかなり異なることに注目してください。この蒸気機関車の原型は釜石鉱山専用鉄道がベルギーのコッケリル(発音表記は?)で作らせて輸入したものです。日本におけるベルギー製の蒸気機関車はもう一例が東北の森林鉄道に導入されましたが、その他の例は聞いたことがありません。

メーカーも珍しいところですが原型の構造も特殊なものでボイラの大きさと比べてスチームドームが特別巨大で、まるでロコモティブクレーンのような外観です。特別な工場で安全のために無火機関車(ファイヤレスエンジン)のような使われ方をしていたのでしょうか、それとも一瞬だけ強力な力を必要とする特殊な運用に就いていたのでしょうか。

結局その特殊な構造のボイラーとその周辺が日本車両で普通の小型機関車と同じものに取り替えられて、単なる軽便蒸気機関車となりました。

せっかく東北の釜石からやってきた蒸気機関車ですが、軸重がとても重く試運転の段階でレールを酷く破損したようで、ほとんど使われないまま車庫で保管されていました。

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これは丁C10という戦時標準型蒸気機関車です。国鉄が採用した乙B20型と同じ命名方式で、丁は2フィート6インチゲージ、Cは動軸数、15は運転整備重量を表しています。ネガの保存に失敗して酷い状況ですが、手持ちのネガがこれだけなので掲載してみましょう。

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