古い車輌の写真

花巻電鉄 3 木造電車

デハ5

RP079 Web#=146 掲載2008/6/11

花巻電鉄は半鋼製の細い電車が有名でしたが、その影に隠れるように同じ形態の木造電車デハ5が在籍していました。その車体の最大幅は実にたったの1600mmでした。ちなみに新幹線の車体の最大幅は3380mmです。

写真のとおりの極端な細面(ホソオモテ)ですが、律儀に正面は3枚窓です。両側の細い窓では窓ガラスの巾の方が、窓枠の巾の合計よりも狭いんじゃないかと。

このデハ5は1928年の雨宮製作所製、僚車のデハ4は1926年製です。これでも定員は50名! プレートフレームの台車には大きな直径864mmの車輪が付けられていました。これは冬季の積雪からモーターを守ろうとして通常の路面電車よりも高い位置にモーターを収容したためです。

僚車のデハ4は1931年にあった車庫火災で焼失し、後に半鋼製車として復旧されました。このデハ5は最後まで木造のまま車籍を残し、写真を撮影した頃は工事用車両として使用されていました。車体の反対側側面にはハシゴを提げていました。

手間にに横倒しになっているのは保線用トロリーからはずされた架線の修理櫓(ヤグラ)です。

これは検車区の片隅で物置と化していた車体で、写真からは番号が読み取れません。正面3枚窓で側面の窓の上、幕板部分に櫛型アーチの採光窓があるという特徴から鉄道線用のデハ1、2のどちらかの車体と思われます。

鉄道線用としてデハ1〜3は1924年、4は1925年に雨宮製作所で作られた木造電車です。デハ3・4は1931年にあった車庫の火災で焼失し、1932年に木造時と同じ様な形の半鋼製車体で復旧されました。木造のままのデハ1・2は軌道線でも使用されたあと鋼体化されてデハ21・22となりました。この車体はそのときに解体されずに残された旧車体だと思われます。

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