古い車輌の写真

花巻電鉄 6 デハ 2

デハ55

RP082 Web#=149 掲載2008/6/14

1950年に日本車輌で作られたデハ55です。就役当初はビューゲルによる集電でしたが、後にZ型パンタグラフに取り替えられています。正面3枚窓の常識的な格好をした電車で、長さ12m巾が2.13m定員80名と中型の路面電車と同じくらいのサイズでした。これだけでは定員が足りなかったのか、常にサハを1輌連結して運行していました。

デハ57

1958年に日本車輌の東京支店で作られたデハ57です。張り上げ屋根とノ−シル・ノーヘッダーのスマートな車体に大きな明るい窓をもっていました。車体の大きさはデハ55と同じで、モーターの出力もほとんど変わりません。

軽便電車と同じくらい建屋の中の情景が模型的で興味深いものがあります。写真2の中央左寄りの煙突はダルマ型ストーブのためのものです。左手天井近くには旧式のベルト式工作機械を駆動するためにシャフトが通っていて、大きなプーリーが見えています。ストーブの奥には古いベルト式旋盤が設置されていました。工作机の上の裸電球にも注目してください。

右側のトタン屋根には大きな採光窓が明けられています。右奥に見えるフードの下には鍛造をするためのコークスを焚く火床(ホド)が設置されているのでしょう。

深いピットが掘られた線路の上には片方の台車がはずされたデハ57と帯鋼を組み立てた台車と大きな車輪が見えます。

デハ57の正面はご覧のように2枚窓に半円型の塗り分けとなっていて湘南電車の影響が伺えます。ヘッドライトが少し変なのはスマートな埋め込み式のヘッドライトにシールドビームを無理やりくっつけたからでしょうか。

木箱に収容された部品類が車庫の壁面に積み上げられています。写真3の右側に見える木造の間仕切りは事務所でしょうか。線路は踏み固められていて、枕木がほとんど見えません。左の壁はどうもトタン板を張っただけのようで、冬季の寒さが思いやられます。

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