古い車輌の写真

近鉄 伊賀線 1 モニ5181形、モ5251形

モニ5183

RP151 Web#=276 掲載2009/4/17

写真1はモニ5181形モニ5183、1970/1/25近鉄伊賀線上野市検車区にて。写真2は同じ電車を1972/1/13近鉄伊賀線上野市駅にて。

この電車は1926年に電化した伊賀鉄道が新造した電車デハニ1形です。この区間の歴史はかなり込み入ったものがあります。

1916年 伊賀軌道開業。
1917年 伊賀鉄道に社名変更。
1919年 全線を軌道法による軌道から地方鉄道法による鉄道に変更。
1922年 上野町〜名張間が開業し全通。
1926年 伊賀上野〜名張間が電化、伊賀電気鉄道に社名変更
1929年 大阪電気軌道が伊賀電気鉄道を合併
1931年 大阪電気軌道が伊賀線を参宮急行電鉄に譲渡
1941年 参宮急行電鉄が大阪電気軌道と合併、関西急行鉄道に改称
1944年 関西急行鉄道が近畿日本鉄道に社名変更
1973年 貨物営業廃止
2007年 経営が近鉄から伊賀鉄道(新に設立された2代目)に移行

モニ5184

写真3はモニ5181形モニ5184、1970/1/25近鉄伊賀線上野市駅にて。

所属していた会社のややこしい経歴はさておき、ローカル電車の典型という好ましい小型電車でした。お椀型ベンチレーター、キングポスト、独立した扉を持つ手荷物室、1輌でも走れる前面非貫通の角張ったリベットだらけの半鋼製車体、ボールドウイン形イコライザー台車。手荷物室の表記にローカル線の香りを感じます。

モ5251

写真4はモ5251形モ5251、1970/1/25近鉄伊賀線上野市検車区にて。この時は検査中で仮の台車を履いていました。

この電車は信貴山急行電鉄が1930年の開業に合わせてデ5形5〜7の3輌を製造したものです。デ6は谷底に転落して大破、廃車となりました。残り2輌は戦時中の不要不急線廃止に伴いケーブルカーの線路を使って山麓まで運ばれ、近鉄南大阪線で使用されました。1946年に伊賀線に転属となり1977年まで使用されました。

モ5252

写真5、6はモ5251形モ5252、1970/1/25近鉄伊賀線上野市検車区にて。

この電車が就役した信貴山急行電鉄はケーブルカーで登った山上に、独立した路線があるという珍しい営業形態でした。路線延長は僅かに2.1km、駅は起点と終点のみ、複線のように見える路線は単線並列。急勾配があるのでレールにブロックを押しつける非常ブレーキを装備した短い(14m)登山電車仕様でした。

窓の上隅が丸く仕上げられ正面非貫通の短い車体と、登山電車の特徴を備えていました。台車は残念ながら原型のレールブレーキを備えた特殊台車から普通のイコライザー台車に変えられていました。

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