古い車輌の写真

富山地方鉄道 1 ロマンスカー 1

RP165 Web#=298 掲載2009/5/27

これから数回にわたって富山地方鉄道(通称地鉄)を紹介しましょう。北陸地方の私鉄は合併の歴史がとても複雑です。とやま地方鉄道は1943年に「陸上交通事業調整法」に基づき、1930年設立の富山電気鉄道を中核にして富山県内の私鉄、公営の鉄道、軌道、バス会社を合併して設立されました。合併に参加した鉄道会社は以下の6社でした。

富山電気鉄道(現在の地鉄本線 電鉄富山〜電鉄黒部間と立山線 寺田〜岩峅寺間)
  この前に富山電気鉄道は下記の3社を合併しています。
    立山鉄道(現在の地鉄立山線 五百石〜岩峅寺間)
    富南鉄道(現在の地鉄不二越線)
    富岩鉄道(国鉄の富山港線を経て現在の富山ライトレール)

加越鉄道(現在の地鉄加越線)
富山県営鉄道(現在の地鉄上滝線と立山線 岩峅寺〜立山間)
黒部鉄道(現在の地鉄本線 電鉄黒部〜宇奈月温泉間)
越中鉄道(廃止された地鉄射水線)
富山市営軌道(富山市内軌道線)

モハ14771

写真1はモハ14770形モハ14771、1977/3/20富山地方鉄道電鉄富山駅にて。

多くの私鉄をが合併してできた地鉄は永らく優れた電車に恵まれませんでしたが、地鉄初のカルダンドライブのロマンスカーとして1995年に日本車輌東京支店で作られました。ノーシル・ノーヘッダーで張り上げ屋根の平滑な車体を持っていました。当初はモハ14771とクハ171の2輌編成で竣工、但しクハは将来モハ化する計画だったのでどちらも両輌運転台でした。1958年にクハ171はモハ14772となり、1981年にモハ14761型の増備による番号の重複を解消するためにモハ14791、14792に改番されました。廃車は1995年と1997年でした。

モハ14782

写真2はモハ14780形モハ14782、1977/3/20富山地方鉄道電鉄富山駅にて。

1956〜1958年にかけて6両がモハ14770型の増備として日本車輌東京支店で作られました。地鉄で初めての2輌固定編成(モハ14780+クハ180)、正面は2枚窓の非貫通車となりました。側面の窓の隅が丸く仕上げられて、よりスマートな電車をアピールしていました。1997年から1999年にかけて廃車となりました。

クハ182

写真3はクハ180形クハ182、1977/3/20富山地方鉄道電鉄富山駅にて。

1956〜1958年にかけて6両がモハ14770型の増備として日本車輌東京支店で作られました。地鉄で初めての2輌固定編成(モハ14780+クハ180)のクハです。1997年から1999年にかけて廃車となりました。

写真4はモハ14730形モハ14731、1971/10/24富山地方鉄道黒部線宇奈月温泉駅にて。

上記の初期ロマンスカーと比べるとこのモハ14730形の正面デザインは大きく異なります。地鉄にしか見られない3灯のヘッドライトが、デザインに大きな影響を与えています。

趣味誌上で「費用のかかる保線に資金を投じないで、安価で済む特急電車ばかりに投資する」と揶揄されたこともありました。除雪費用がかかり、沿線人口も少ない中で懸命に頑張ってきた地鉄の虎の子ロマンスカーに拍手を送りたいものです。

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