古い車輌の写真

京福電鉄福井支社 9 テキ9

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RP308 Web#=508 掲載2010/6/16

写真1と2はテキ7形9、1973/6/3京福電鉄福井支社福井口車庫にて。

1973年に初めて京福電鉄福井口車庫を訪問したときには、このテキ9も現役だったようで、広い構内の外れに味の素株式会社の塩酸タンク車タム5000形1輌と共に留置されていました。


この電気機関車は京都電燈福井支社越前電気鉄道部が、梅鉢鉄工場(後の帝国車輌、今は東急車輛に吸収合併)で1920年にテキ6形テキ6〜テキ11の6両を製造しました。後に木造車体に鉄板を貼付た(所謂ニセステイール化)半鋼製四輪単車です。

1935年に新福井駅に隣接した車庫の火災で3両が廃車となりました。残ったテキ6、7と9は制御器の違いからテキ6形テキ6とテキ7形テキ7、テキ9に形式が分かれました。

当初は客車の牽引もあったようですが、主として貨物列車牽引に従事していました。外観は電動有蓋車で全長7.3m、自重9.1t、出力104kwと小型なために本格的な電気機関車テキ521形の就役に伴い駅での入換用になりました。台車は標準的なブリル21E形の台車を履いていました。

鋼体化された車体の側窓は、後に楕円形のHゴム支持となり愛嬌を振り撒いていました。このような簡単な小型電気機関車にはパンタグラフを奢ってもらえなかったようで、前後にボウ・コレクター(俗称Yゲルとかハエタタキ)を載せていました。貨物の出し入れなんか無かったと思われる貨物扉には、地方私鉄の象徴である社紋が書き込まれています。ヘッドライトを装備していなかったのは昼間しか用が無かったからでしょうか?

写真5はテキ形9、1977/3/21京福電鉄福井支社福井口車庫にて。

1977年に福井口車庫を訪問したときには、テキ9はご覧のように車庫でダルマさんと化していました。
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