古い車輌の写真

静岡鉄道 駿遠線 9 ハ9、ハ10

ハ9

RP331 Web#=521 掲載2010/10/27

写真1〜4はハ9、1967/8/23静岡鉄道駿遠線相良車庫にて。

ハ8とハ9の前身は佐世保軽便鉄道が1922年に岡部鉄工所で製造した木造2軸ボギー客車です。1936年に佐世保鉄道は鉄道省に買収されて松浦線となり、ケコハ485とケコハ486になりました。

最大長は9.0m、自重4.4t、定員46名で車内は白熱灯、アーチバー式台車を履いていました。

軽便鉄道の客車らしいスタイルで、ダブルルーフにトルペード型ベンチレーター2個が魅力を添えています。

ハ9のインテリアです。新造時は木目も美しいワニス塗装の落ち着いた客室だったことでしょう。座席は傷んでいましたが本来は艶のある天鵞絨(ビロード)張で、就役当時の乗客の目には贅沢に映っていたことでしょう。床は埃っぽくなっていますが、元来は油を引いた黒い艶のある木造でした。

ダブルルーフが室内からも伺えます。白熱灯をつけるのが精一杯のサービスで扇風機は天井の高さからして無理でした。無論この写真を撮影した1967年頃でも、一般車にエアコンのような贅沢品はありえませんでした。

後に改造が行われハ8は妻面3枚窓になり、ハ9は写真のように妻面に観音開きの貫通扉が残されていました。

客車もいいのですが、どうも右側の古い蒸気機関車用水タンクと、古枕木を廃物利用した柵に目が行ってしまいます。

ハ10

写真5はハ10、1967/8/23静岡鉄道駿遠線新袋井駅にて。

ハ10とハ11は中遠鉄道からの承継車で、元の番号はロボ5とロボ6でした。1913年に日本車輌で作られた2軸ボギーの木造客車です。中遠鉄道では2等車(当時は3等級制で1等車=イ、2等車=ロ、3等車=ハ)として就役していました。端部で切り落とされたダブルルーフが特徴です。

最大長は9.4m、自重4.3t、定員50名で車内は白熱灯、アーチバー式台車を履いていました。涼しそうな浜風がカーテンを窓かなびかせていますが、扇風機は当然設置されてなくて狭い軽便鉄道の車内はさぞ暑かった事でしょう。