古い車輌の写真

急行用ディーゼルカー 3 私鉄のキハ55系

キハ5501

RJ157 Web#=568 掲載2011/2/10

写真1はキハ5500形キハ5501、1971/9/7南海電鉄天下茶屋車庫。

南海電鉄では戦前から紀勢線に乗り入れを行っていましたが、紀勢線全通に伴い準急「南紀」に併結して観光地の南紀方面へ直通運転を実施するために国鉄キハ55と同系の、エンジンを2台搭載した片運転台車キハ5501形キハ5501〜5505の5輌を就役させました。このうちキハ5505は踏切事故のため1973年に廃車され、関東鉄道に譲渡されてキハ755となりました。

キハ5553

写真2はキハ5550形キハ5553、1971/9/7南海電鉄天下茶屋車庫。

キハ5501形と同時期に両運転台のキハ5551形キハ5551〜5554の4輌が作られました。

1985年5月に紀勢線の併結対象列車が全て電車特急となったために、残っていたキハ5501形とキハ5551形は全て廃車解体となりました。

サハ4801

写真3はサハ4801形サハ4801、1971/10/24国鉄紀勢線御坊駅。

DF50が牽引する普通列車で手前のオハフ33 450と荷物車の間に連結されているのがサハ4801。塗装は濃緑色で車体断面が少し小さいので列車の中では目立ちます。この客車は当初筑波鉄道の木造客車で、阪和電鉄に譲渡されサタ800形801〜804として就役(これは戦争による車輌調達難のため)、すぐに運転台が取り付けられクタ800形801〜804となりました。阪和電鉄の買収時には南海本線でサハ3801形サハ3801〜3804として使用されていました。敗戦直後はC10001形蒸気機関車に牽引されて急行列車!!として使われていました。その後サハ3804を1952年に改造(名義だけ)してサハ4801形サハ4801が作られ、キハ5501形に先駆けて南紀直通列車に使用されていました。

キハ2601

写真3はキハ26形キハ2601、島原鉄道諫早駅。

島原鉄道では自社のキハ20形で長崎本線諫早〜長崎間の直通運転を実施していました。国鉄の準急列車への併結を実施するため1960年に国鉄キハ26形とキハ55形に準じたディーゼルカーを新造、エンジンを1台だけ搭載したキハ26形はキハ2601〜2603の3輌が作られました。キハ55形と同様国鉄の準急列車や急行列車「出島」や「弓張」に併結されて、遠く博多や小倉までの直通運転も実現されました。後に冷房化改造を受けましたが1980年からは線内専用となり、2500形の増備に伴い1997年までに全て廃車となりました。

キハ5502

写真4はキハ55形キハ5502、島原鉄道南島原機関区。

このうちエンジンを2台搭載した方はキハ55形キハ5501〜5503、5505〜5506の5輌でした。1980年からは線内専用となりエンジンを1台降ろして運用されていました。2500形の増備に伴い2000年までに全て廃車となりました。

国鉄で量産された気動車は地方鉄道でも同じ設計で新造されることがよくあります。キハ10やキハ20の例は多いのですが、急行用の高性能車キハ55は私鉄が急行列車として国鉄に乗入れられる経営規模のところに限られていました。

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