古い車輌の写真

瀬戸内の国電 1 クハ86

クハ86014

RJ160 Web#=573 掲載2011/2/23

写真1はクハ86形クハ86014、1975/5/26国鉄山陽本線岡山駅。

国鉄は従来の電気機関車が牽引する中距離の列車を電車で置き換えようとして、世界で初めての試みにチャレンジしました。1949年に73輌の動力分散方式による長距離電車モハ80系湘南電車が誕生しました。写真のクハ86014は近畿車輛で第一期形として作られました。汚れの目立たない濃い色しかなかった国鉄で初めての試みとして緑とオレンジ色という明るい塗装を纏っていました。初期のクハ86は写真のように正面が3枚窓(Hゴム支持の窓枠に改造後です)でした。

クハ86031

写真2はクハ86形クハ86031、1975/5/26国鉄山陽本線岡山駅。

湘南電車と言えばこの2次車以降、前面がHゴム支持の大きな2枚窓を思い浮かべます。箱型の車体を持つ鉄道車輌の正面に、これほど大きな影響を与えたデザインは空前絶後でしょう。電車はもとより電気機関車、箱型ディーゼル機関車、ディーゼルカー、そして軽便鉄道のディーゼルカーや森林鉄道の箱型ディーゼル機関車にまで影響が及びました。ヘッドライトがシールドビームに交換されて醜くなる前に、全て廃車となったのは幸せだったかも知れません。Hゴムが似合う唯一の車輌でしょう。

クハ86059

写真3はクハ86形クハ86031、1972/5/1国鉄山陽本線岡山駅。

正面の窓枠に注目してください。1970年代で運転台の窓枠がHゴムに改造される前の原型で残っていたのは多分この1輌だけでしょう。

クモユニ81002

写真4はクモユニ81形クモユニ81002、1974/6/9国鉄山陽本線岡山駅。

客車列車を置き換えた長距離用の湘南電車には郵便車や荷物車も必要になりました。旅客を乗せないのだから中古車改造でも十分だったと思えるのですが、前後とも流線形の新造車クモユニ81形が奢られました。

クハ155 6

写真5と6はクハ155形クハ155 6、1972/8/6国鉄山陽本線岡山駅。

国鉄は1958年に山陽本線姫路電化用に製造された80系電車を修学旅行用臨時列車に運用してみました。客車と違って自動扉の付いた電車は生徒達が客車のデッキからふざけて転落する事故を防ぐのに有効でした。

そこで東京都修学旅行委員会の提案で国鉄が修学旅行専用電車を作ることになりました。

ライトスカーレットとレモンイエローという明るい塗装(修学旅行色)で長く活躍しましたが、晩年は湘南電車と同じ塗装になって快速電車等に充当されるようになりました。

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