古い車輌の写真

松本電鉄 2 ED301とハニフ

ED301

RP010 Web#=60 掲載2008/2/4

1976/6/5松本電鉄上高地線の新村車庫で撮影したED301です。これは信濃鉄道(現在JR東日本大糸線)が1926,7年に輸入した小型電気機関車で、機械部分はボールドウイン社製、電機部分はウェスティングハウス社製です。
長さは9.15m、重量28.6t、出力264kWという私鉄には使いやすい小型電気機関車でした。

1937年の国有化後はED221〜3となり同じ北松本機関区に所属し大糸南線で使われましたが、1943年に豊橋機関区に転属し同じ買収線区である飯田線で使われました。1948年にED221が西武鉄道に譲渡され1型1となりました。1950年に近江鉄道に譲渡されED221となり、1960年に一畑電鉄に譲渡、1974年に弘前鉄道に譲渡され大鰐線で除雪用としてED221としてまだ現在も使用中です。
ED222は1956年の廃車となり三岐鉄道に譲渡され国鉄時代の番号のまま長く富田駅構内の入れ替えように使われ、現在は員弁市で保存されています。
全長9m、重量28.6t、出力264KWと中小私鉄には使いやすい小型電気機関車でした。

ED223は一時岳南鉄道に貸し出された後、西武鉄道に譲渡されA1型A1となりました。その後1960年に松本電鉄に譲渡されED301となり入換や工事、除雪に活躍しました。
ボールドウイン/ウェスティングハウス製の凸型小型電気機関車はたくさん輸入され、同系のコピーも作られていました。

ハニフ 1

写真4と5は国電の始祖、元甲武鉄道の電車です。きわめて貴重な車両ですが連結器が写真のような状態なので庫外へ引き出してもらうことは無理でした。
この車はもともと甲武鉄道の電化に伴って作られた2軸の小型電車の増備車で甲武鉄道飯田町工場で1904年製造、当初の番号は「は9」でした。1907年の帝国鉄道庁により国有化されしばらくは旧番号で使用されていましたが、1910年鉄道院の車両形式称号規程制定時にデ963形デ968となりました。1909年にホイールベースを延長する改造(短いブリル21型台車ではピッチングが酷かったようです)を受けています。ボギー車の導入に伴い余剰となったこれらの小型電車は電装品を新車に譲って、単なる2軸客車として1914年に信濃鉄道(現在のJR東日本大糸線の一部)に譲渡されました。

信濃鉄道ではハ6となりその後ロハフ1に改造されました。1925年の信濃鉄道電化に伴い廃車となり、近くの筑摩鉄道(現在の松本電鉄)に譲渡されハフ1として使用されました。後に改造でハニフ1となり1955年に廃車になってからは、長く新村車庫で大切に保管されていました。
写真5は車内の様子ですが、造作がかなり原型で残っているように思えました。今度開館した大宮の鉄道博物館に整備されて保存展示されています。

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