古い車輌の写真

江若鉄道 10 4、5

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RP434 Web#=668 掲載2011/11/30

写真1〜3はC4形キニ4、1969/10/27江若鉄道三井寺下車庫。

1931年に江若鉄道は日本車輛でガソリンカーC4形キニ4とキニ5の2輌新造しました。同時に同じ仕様でC6形キニ6を川崎車両で新造しています。全長18.4m、自重20t、エンジンはアメリカのウォーケシャ製出力105psで機械式変速機、定員120名で荷物室と広い荷物扉を持っていました。

日本車輛が独自に開発した18m級の大型車体を持つ大型ガソリンカーで、後に190輌という大量生産が行われた国鉄キハ41000系に大きな影響を与えました。当時の電車と比べても重量当たりの出力は半分以下で、車体は特別な軽量化が求められていました。溶接技術が発達していない当時では軽量形鋼による骨組に薄い鋼板をリベットで貼った半鋼製車体となり、強度を犠牲にした設計となってしまいました。

キニ4と5の台車は日本車輛が開発した菱枠式軽量台車で、後の国鉄ガソリンカー用標準台車TR-26やTR-29のルーツとなったものです。機構的な制約で一軸駆動でしたが、これはJRになるまでのディーゼルカーの標準的な設計となりました。

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写真4はC4形キニ5、1969/10/27江若鉄道三井寺下車庫。

太平洋戦争中も陸軍の基地が沿線に有ったため、代燃化や付随車化を免れてガソリンカーのまま運用されていました。
1949年にはアメリカ占領軍のキャンプ(基地)が設置されたため、付随車化されていたキニ4や5は占領軍の影響で日野DA54Aディーゼルエンジンに換装されました。その後国鉄標準型のDMH-17に再度換装。

写真5はC4形キニ5、1968/12/25江若鉄道三井寺下駅。

1969年江若鉄道廃止に伴い廃車解体。
江若鉄道のキニ4とキニ5は、5000輌を超える気動車達の祖先と言うべき重要な車輛で、原型を保ったまま製造以来40年近く活躍したにも関わらず保存の措置が取られなかったのは残念なことです。