古い車輌の写真

近江鉄道 6 ED4001、1101

ED4001

RP476 Web#=711 掲載2012/3/7

写真1〜3はED4000形ED4001、1975/3/29近江鉄道彦根車庫。

1928年イギリスのイングリッシュ・エレクトリック社(E.E.)で1輌だけ製造された箱型デッキ付き電気機関車、所謂デッカーです。全長10.9m、自重50.8t、直流1500V、出力149kwX4=596kw、B-B板台枠式台車。
1930年になってから東武鉄道の最初の電気機関車ED10形ED101として車籍を得ていますが、この遅れは他の事業者が発注していて注文流れになったのを東武鉄道が引き取った為といわれています。当時の東武鉄道の貨物列車牽引はほとんどが2-B形テンダー式蒸気機関車で、この1輌だけの電気機関車は臨時団体専用列車の客車運用に使用されていました。

1955年の電気機関車の一斉改番があり、ED4000形ED4001となりました。ヘッドライトのシールドビーム化が行われなかったのは早期に淘汰される予定だったからでしょう。
1972年貨物輸送量減少に伴って廃車。

1972年東武鉄道から近江鉄道に譲渡され、同じ番号で貨物列車用として活躍しました。
1986年貨物輸送全廃と共に休車。
2004年廃車となりましたが、引続き彦根工場で留置されていました。
2007年近江鉄道ミュージアムが彦根駅構内に開設、塗装等の整備が実施。
2009年東武博物館の改装に伴ない東武鉄道へ返還されました。塗装やナンバープレートの復元が行われ保存展示されています。

1101

写真4〜6はロコ1100形1101、1975/3/29近江鉄道彦根車庫。

1930年に阪和電気鉄道(現在のJR阪和線)が天王寺駅構内で国鉄との貨車授受作業に使うために日本車輛で製造した凸形電気機関車です。全長10.3m、自重30.0t、直流1500V、出力164kw、B-B板台枠式台車でした。

阪和電鉄の天王寺駅には33パーミルの急勾配があったので発電回生ブレーキを装備していました。また1500Vの電気機関車でありながら路面電車によく用いられていた直接制御方式を採用していましたが、これは急勾配と急曲線の多い天王寺駅構内での入換作業で、機関車の素早いレスポンスを狙ったためです。
1940年山手線は阪和電気鉄道が南海鉄道に吸収合併され、山手線となりました。
1944年国有化され鉄道省阪和線となり、ロコ1100形1101は元の番号で使用されていました。
1950年形式変更が行われないまま廃車。

1951年近江鉄道へ譲渡され同じ番号で就役。特殊な低速小型機であったために主として彦根駅構内での入換作業に使われました。
2000年本線にATSが設置された時に、車上機器の設置ができなかったので本線には出られなくなりました。
2004年に廃車となりましたが、彦根工場で車籍の無い機械扱いとして入替に使用されていました。今でも自走が可能な保存機として、彦根駅構内に開設された「近江鉄道ミュージアム」に綺麗な状態で保存されています。
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