古い車輌の写真

近江鉄道 7 ED31

ED31 2

RP478 Web#=712 掲載2012/3/7

写真1はED31形ED31 2、1975/3/29近江鉄道彦根車庫。

1923年伊那電気鉄道(現在のJR飯田線の一部)は凸形電気機関車デキ1形1〜6の6輌を芝浦製作所(電装品)と石川島造船所(機械部分)で製造しました。
全長11.8m、自重40.7t、出力85kwX4=340kw、DT10台車のB-B凸形。

ED31 4

写真2と3はED31形ED31 4、1975/3/29近江鉄道彦根車庫。

1943年の戦時買収により国鉄籍となりましたが、戦時の混乱期で番号はそのままで使用されていました。
1952年の車両形式称号規程改正でED31形ED31 1〜ED31 6に改番、ずっと伊那松島機関区に配属され飯田線で使われていました。
1956年〜1957年に国鉄で廃車。

1955年ED31 1と2は西武鉄道に譲渡され、2代目1形1と2として多摩川線で貨物列車牽引用として運用されました。
1955年ED31 3と5、1956年ED31 4が国鉄から直接近江鉄道に譲渡され、国鉄時代の番号のまま運用されました。
1960年西武鉄道1形1と2は近江鉄道に譲渡され、番号が国鉄時代に戻されてED31形ED31 1と ED31 2となりました。結果的に近江鉄道には6輌作られたED31形の内5輌が在籍することになりました。

ED31 5

写真4〜6はED31形ED31 5、1975/3/29近江鉄道彦根車庫。

1990年にED31 5が廃車。
2004年にED31 1と2が廃車。いずれも廃車になっても解体されずに彦根駅構内に開設された「近江鉄道ミュージアム」に綺麗な状態で保存されています。
その後もED31 3と4は、イベント、工事列車の牽引及び彦根工場入換用として使用されて来ました。ED31 4は現在故障で休車、ED31 3号だけが健在ですが、ATSを装備していないために本線単独運行ができません。

前回取り上げた元阪和電気鉄道のロコ1100形1101は細身のなかなかハンサムな電気機関車ですが、ここで取り上げた元伊那電気鉄道のED31形は数ある日本の電気機関車の中で、器量の問題では下の方からトップではないでしょうか。
これは窓のとても小さいことが原因でしょう。乗務員にとっても背の高いボンネットと相俟って前方の視界が限られ、運転には苦労が絶えなかったことと思います。

また写真6に見られるように電気機関車としては小柄な台車の上に、大柄な車体が隙間を見せて乗っかっていて、一段と器量を下げています。
国鉄2代目1060形蒸気機関車と双璧を成すアンバランス ロコでしょう。

   前のページ 次のページ