古い車輌の写真

ポーター社製の103号蒸気機関車

東洋レーヨン株式会社石山工場103

RM006 Web#=89 掲載2008/3/11

この写真は友人が撮影したH.K.ポーター社製103号蒸気機関車で、場所は滋賀県に在る東洋レーヨン(現在の東レ株式会社 TOREY)の石山工場。ご覧のように煙突からうっすらとケムリが出ていて、火が入っていることが分かります。アメリカ製の産業用小型蒸気機関車は、古くなって働いている姿の方が魅力があるように感じます。

Western Shangrla RR 103

最後の働き場所である石山工場で廃車となってから阪急のファミリーランドにやってきて、カウキャッチャーを取り付け綺麗にお化粧をしてもらいましたが、働いていた時の状態まま保存したいのがロコマニアの心情でしょう。

この蒸気機関車は同型のものが6台輸入されました。6台とも遍歴を重ね車歴マニアにとっては面白い材料です。

1913/8製造5397→長州鉄道A1形1→鉄道省1045型1045→尾花沢鉄道1→東武鉄道経由→日本鋼管鶴見工場16→1945年にアメリカ軍の爆撃を受けて転覆破損し土中に半分埋まった状態で最後を迎えました。

1913/8製造5398→長州鉄道A1形2→鉄道省1045型1046→尾花沢鉄道2→合併により山形交通2→1951年廃車

1913/8製造5399→長州鉄道A1形3→鉄道省1045型1047→淡路鉄道4→社名変更で淡路交通4→1949年廃車 淡路鉄道では孤立した島の鉄道で、バッファーとリンク式連結器を備えていました。

1913/10製造5680→長岡鉄道3→日本鋼管鶴見工場14

1913/10製造5681→長門鉄道102

1913/10製造5682→長門鉄道101→東洋レーヨン滋賀工場101→改番103→宝塚ファミリーランドに保存→カヤ興産株式会社SL広場保存

写真2、3、4は宝塚ファミリーランドで上屋が新設された後の写真です。保存展示のお披露目の後でカウキャッチャーが前端に追加されましたが、時代考証からは賛成できかねるものでした。でも子供向けの楽しいオモチャと見れば許せるかも知れません。

全長6.5m、運転整備重量18.3t、軸重はたった6.1tの小柄な蒸気機関車です。

お披露目の式典

写真5は宝塚ファミリーランドで保存展示のお披露目をやった当日の状態で、紅白のリボンを巻き、赤く塗装されたエンドビームとサイドロッドの赤、ぴかぴかの塗装、真鍮磨きだしの安全弁、キャブ内部の明るい色の塗装とお洒落なお化粧をしていました。これを撮影したのは寒い曇り空の1965/1/17で、たくさん(数百人?)の参会者に取り囲まれていました。

式典で演じられた西部劇の寸劇

お披露目では機関車の周りで3人の俳優さんによる西部劇の寸劇が演じられ、たくさんの参会者全員に東洋レーヨンから記念品が贈られました。

6台も輸入された可愛い蒸気機関車ですが、6台ともその後の運命は波乱に富んだものでした。この103号はとても強運の機関車で、最後は京都府与謝郡与謝野町字滝にあるカヤ興産株式会社SL広場で今でも大切に保存されています。

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