古い車輌の写真

能勢電鉄 1 歴史など

昔の川西能勢口駅

RP607 Web#=936 掲載2015/3/21

写真1は能勢電鉄川西能勢口駅に進入する10形、1965/4/1。

能勢電気軌道はサイト・オーナーの鉄道趣味のルーツとなった路線です。阪急の立派な電車を毎日眺めていた目には、当時でも珍しくなっていた木造の電車はとても新鮮なものに映りました。日本の田舎や里山の典型だった沿線も魅力、検車区の職員の方の親切も忘れられません。

今の川西能勢口駅

写真2は能勢電鉄川西能勢口駅で出発待ちの3100形、2014/5/17。

これは最近の近代化された高架の川西能勢口、もう当時の小型木造電車の面影はどこにも残っていません。写真は集客の一環として催されたスイーツ電車の乗車した時のものです。

昔の妙見口駅

写真3は妙見口駅で待機中の10形、1965/4/1。

1908年に妙見山の能勢妙見堂への参拝客と、特産品の酒、米、寒天、薪炭の輸送を目的として能勢電気軌道を設立。
1913年能勢口( 現在の川西能勢口 )〜一の鳥居間が開業。
1914年神戸地方裁判所より破産宣告という危機に見舞われました。
1922年の増資で阪神急行電鉄( 現在の阪急電鉄 )の資本参加を受けました。
1923年池田駅前( 後の川西国鉄前駅 )〜 妙見( 現在の妙見口 )間が全通。当時の貨物営業の2/3近くは能勢口駅から福知山線池田駅に運ばれていた三ツ矢サイダーでした。

今の妙見口駅

写真4〜6は妙見駅に到着した3100形電車、2014/5/17。

1961年の増資で阪急の子会社となりました。
1969年から車輛の大型化高速化に対応する軌道強化工事が始まりました。これはほとんどの区間で新しく複線の鉄道を新設するほどの大規模なものでした。
1977年準拠対象を軌道法から地方鉄道法に変更し、翌年に能勢電鉄と社名変更。
1978年日生線開業。
1983年に大型車1500系( 元阪急電鉄の2100系 )を導入。
1995年に1500Vに昇圧。
1997年に川西能勢口駅付近連続立体交差事業が竣工。特急「日生エクスプレス」を運行開始。

私が能勢電鉄に通い始めたのは、小規模な田舎の電車から都会の通勤用大量高速輸送機関に脱皮し始めた時期でした。山岳鉄道といっても過言でない鉄道だったので、工事は新規開業に匹敵する大規模なものでした。複線トンネルの新設、橋梁の取換、昇圧、車輛の総入替と冷房化、検車区の新設、保安設備の入替、これは阪急電鉄の資金力を以って行わないと不可能だったでしょう。

そのような感慨と、あまり変わっていない山河を眺めながら、もちろん提供されたお菓子も楽しみながら、見違えるようにお洒落になった妙見口駅に到着、そこにはリバイバル塗装の電車が乗客を待っていました。

もう今ではノスタルジアを以って振り返る能勢の山里の電車は無くなってしまい、都会の画一的な長編成の電車が10分ヘッドで行きかう多忙な阪急の支線になっています。マイカー相手に勝負を挑むには、これほどの巨大な資本投下が必要なのでしょう。

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